チーズケーキの話はしません。
シードルはフランス語。英語ではサイダー。
そういうとその辺りだけで飲まれているのかなと思うかもしれませんが、とんでもありません。
シードルは世界中で飲まれています。そう、もちろんスペインでもです。「世界中」と聞いて、真っ先にスペインのことが思い浮かんだでしょう。安心てください。スペインでも飲まれています。
まず、スペインではシードルを「sidra(シードラ)」と呼びます。
え、シードラってあの青くて、タツノオト…
違ぁぁう!!でもそいつは英語版でも「Seadra」らしいよ。
それはそうと、シードラがよく飲まれているは、おもにバスク地方とアストゥリアス地方です。
バスク地方とはピレネー山脈をはさんだフランスとスペインの国境辺りの地域で、両方にまたがっています。
つまり、フランスでもありスペインでもあるのがバスク地方なのです。
本当の意味の「聖地巡礼」もフランス側のバスク地域「Saint-Jean-Pied-de-Port(サンジャンピエドポー)」から出発してピレネー山脈を越える人が多いです。
これがワシのやり方よ。
スペインのシードルには、独特な飲み方があります。
それは、「エスカンシアール」という方法で、シードルを注いぐボトルを高く上げて、空気にふれさせながら注ぐ方法です。
細かなやり方があるようなので、一応記載します。
- 足を肩幅に開いてまっすぐ立つ
- ボトルを持つ手を頭上に伸ばす
- 親指はボトルの下、3本の指はボトルの上、小指はボトルの底にして持つ
- ボトルの下半分の位置で持つ
- グラスを体の中心でできるだけ低く持つ
- 親指と人差し指でグラスを持ち、中指をグラスの底にそえる
- 注ぎ始めたらグラスを動かさない
- グラスを持っている手の薬指と小指でコルクを持つ
- 注ぐときはシードラをグラスの中で飛び散らせる
- 相手が取りやすいようにグラスを渡す
モロッコでも似たような感じでお茶をいれてたりするので、人はそういうことをしたがるものなのかもしれません。
日本でもカフェオレを高いところからいれたり、ラーメンの湯切りを高いところからする人がいますね。
おそるおそる、びちゃびちゃ。
さすがにエスカンシアールで注ごうとは思いませんが、せっかくなのでちょっとグラスから離して注いでみようと思います。
今回は「ISASTEGI」の「ISASTEGI NATURAL CIDER」で挑戦です。
珍しく瓶の中に全部入ったタイプのコルクです。
そしてこの注意書きが、あなどれない存在でした。
堅すぎてまったくビクともしません。
なんならちょっとあきらめかける瞬間がありました。
はっきり言って老人や華奢な女性には無理だと思います。
まあ、頑張って何とか抜けました。変な形をしています。
この形には訳があって、抜いたコルクを再び瓶に差し込むと、エスカンシアールに最適な注ぎ口となるようです。
ただ、注いでいる間にうっかりコルクが抜けて辺りがシードラ浸しになるのが嫌だったので、今回は使いませんでした。
やい、意気地なし野郎!
結局はこぼしましたが、なんとか注げたのでよかった、よかった。
そして味はと言いますと、かなり酸っぱいです。
フランスのシードルを基準に考えたら、こんなに酸っぱいものはなかなか飲んだことがないくらいです。
ただ、リンゴ本来の味というか、アルコールに発酵した感じをしっかり味わえます。
シードラのにごりに加え、瓶に澱も多く残っているので、いかに自然な製造にこだわっているかがうかがえます。
というわけで、今回の一杯でした。
青年よ、シードラをこぼせ。
シードル太郎