PR

【JAPAN CIDER CUP 2024】ジャパンサイダーカップでポートランドのシードルを飲み比べ<後編>

アメリカ

ノースウエストサイダー協会のサイダー飲み比べ<後編>

八王子で行われた「JAPAN CIDER CUP 2024(ジャパンサイダーカップ)」

そこに出店していた、アメリカ北西部のシードルを飲み比べていたのが前回の記事です。

そして今回はその後編です。

前回までの復習はお済ですか?…そうですか、ありがとうございます。

それでは後編スタートです。

AVID Cider Company(アヴィッド・サイダー・カンパニー)

「AVID Cider Company(アヴィッド・サイダー・カンパニー)」の『Royal Apricot Imperial(ロイヤル・アプリコット・インペリアル)』です。

パッケージも名前もなんだかギラついてますね。

「AVID Cider Company(アヴィッド・サイダー・カンパニー)」は2013年に始まった新しいサイダリーです。

ギラついた見た目とは裏腹に、本物の素材、本物の果物で味付けしているのが特徴です。

そもそもシードルの良いところは、リンゴだけあれば作れるところです。

リンゴ果汁が自然酵母により発酵してお酒になる。とてもシンプルです。

スピリッツに人工香料と砂糖を加えてリンゴ味のアルコールにしたものではありません。

アヴィッド・サイダー・カンパニーのシードルは、フレーバーシードルではありますが、本物の果汁を加えています。

例えばこの「ロイヤル・アプリコット・インペリアル」は、リンゴとアプリコットの果汁から作られています。

とはいえ誤解を招きそうなので、原料を正確に記載するとこんな感じです。

  • 濃縮リンゴ果汁
  • 濃縮アプリコット果汁
  • 天然フレーバー
  • クエン酸
  • 亜硫酸塩を含む

最後の「亜硫酸塩」がなにかわからない場合、添加物入りの危険な食品と思うかもしれませんが、全く違いますのでご安心ください。

「亜硫酸塩」はあらゆる発酵食品で自然に生成されるもので、シードルやワインの発酵プロセス中にも生成されます。

つまり、完全に「亜硫酸塩を含まない」シードルは作れません。

ただ、亜硫酸塩にアレルギーのある人もいるため、成分表示に記載してあるということのようです。

さてさて、成分表示のはともかくとして、肝心の味をお伝えします。

ずばり「ロイヤル・アプリコット・インペリアル」はこれまで飲んだフレーバーシードルの中ではトップクラスにおいしいです。

リンゴの酸味はかすかにありますが、アプリコット果汁の甘味をしっかりと感じることができます。

アルコールは8.5%と高めですが、グビグビ飲みたくなります。

果汁による天然の甘味のため繊細さもありながら、缶で気軽に楽しむお酒としても成立していて、素晴らしいバランスです。

続いて『BLACK BERRY HARD CIDER(ブラックベリー・ハードサイダー)』です。

やはりこちらのシードルもギラついた見た目です。

が、こちらも同様に本物の果汁が加えられたフレーバーシードルです。

ブラックベリーとカシスが加えられています。

味は甘くて飲みやすく、かなり美味しいです。

他のブースでも「甘いシードル(サイダー)が飲みたいなら、あれね。」と言われたほどです。

ブラックベリーとカシスが全面に出てくるので、シードル要素を見つけるのが難しいですが、シードルにこだわらなければ素晴らしいです。

アルコール度数も6.2%と平均的なので、若者が飲むのにはもってこいだと思います。

日本では流通していないですが、普通に買えるようになれば、大学生はこぞってこれを飲むことでしょう。

Kristof Farms(クリストフ・ファームズ)

「Kristof Farms(クリストフ・ファームズ)」の『Orchard Cider(オーチャードサイダー)』です。

「Orchard」と名前の付くシードルはこれ以外にもよくあります。

「Orchard」の意味は「果樹園」です。

「自社農園でとられたリンゴで作ってますよ。」と伝えたいわけですね。

もちろん、クリストフ・ファームズのシードルも自社農園で育ったリンゴを使用しています。

クリストフ・ファームズは1971年からオレゴン州ヤンヒルという場所で営農していて、様々なリンゴを育てています。

日本同様、シードルの歴史の短いアメリカでは、食用リンゴのみでシードルを作る醸造所は多いです。

一方このクリストフ・ファームズは、シードル用のリンゴを育ててシードルに使っています。

一部紹介すると以下のようなものを使用していて、これらはイギリスやフランスの伝統的な品種です。

  • キングストン ブラック
  • ミシュラン
  • ダビネット
  • ウィクソン クラブ
  • ハリソン…etc

そしてこのオーチャードサイダーですが、12種類のリンゴをこだわって使っているだけあって、シードルらしいシードルです。

酸味と苦みと甘味のバランスがよく、複雑で繊細なシードルの良さをしっかり感じることができます。

また、チーズのような雰囲気も感じられます。

続いては『Reserve Cider(リザーブサイダー)』です。

「リザーブ..予約…予約サイダー?なにそれ?」と思たかもしれませんが、「予約」とは訳さないでください。

あえて言えば「とっておき」という感じです。

「リザーブ」はワインにも用いられる用語で、樽でより長く熟成されたちょっと高いワインにつけられます。

国によっては「○○年以上熟成」などの条件がありますが、アメリカでは特に法的な制限などはないようです。

そして名前の通り、このシードルは樽で熟成されています。

また、前述したオーチャードサイダーに加え「Bauman’s」(あとで出てきます)のアイスサイダーも使用しています。

「アイスサイダー」とは、低温(冷凍)処理したリンゴを使用して作るシードルです。

リンゴを低温下に置くことで、水分が飛んで糖分が濃縮されます。

糖分が濃縮されたリンゴを使うため、通常よりもかなり甘いシードルができます。それがアイスサイダーです。

このリザーブサイダーは、通常のシードルとアイスサイダーを混ぜているため、アイスサイダー単体ほど甘くはありません。

クリストフ・ファームズの方も「甘いけど、すごく甘いというよりは、少し甘いって感じ」と説明していました。

が、しかし!この認識には違いがあるようです。

「リザーブサイダー」はしっかり、かなり甘いです。

決してネガティブな意味ではなく、甘くて、ものすごく美味しいです!

樽で熟成されることで深みが増しているのも理由にあると思います。

まるでソーテルヌやトカイワインを飲んでいるような気持になります。

「ジャパンサイダーカップ」で飲んだシードルの中で、一番好きなシードルです。

買いたかったですが、残念ながら日本で取り扱いのある店は見つけられませんでした。

Bauman’s Cider Company(ボウマンズ・サイダー・カンパニー)

「Bauman’s Cider Company(バウマンズ・サイダー・カンパニー)」の『Authentic Cider(オーセンティックサイダー)』です。

まず名前の説明をすると、「Authentic」とは「本物」や「正真正銘」といった意味があります。

フレーバー系のシードルとは違うという意味で、「王道」といったニュアンスかもしれません。

作っている「Bauman’s Cider Company(バウマンズ・サイダー・カンパニー)」は、なんと1895年からオレゴン州で農園を営んでいます。

一方、ビジネスとして本格的にシードルを作り始めたのは2016年からと、サイダリーとしては新しいです。

そしてこの「オーセンティックサイダー」ですが、日本のシードルに似ています。

シードルに発酵した後で、リンゴ果汁を加えて甘味を調整しているのが理由かもしれません。

また、バナナの味がするわけではありませんが、薄っすらバナナのような渋みや酸味も感じます。

ほとんどクセがないため、軽く飲むのにちょうどいいシードルです。

Golden Row Cider(ゴールデン・ロウ・サイダー)

「Golden Row Cider(ゴールデン・ロウ・サイダー)」の『HARD APPLE CIDER(ハードアップルサイダー)』です。

「Golden Row Cider(ゴールデン・ロウ・サイダー)」はオレゴン州のフッド山のふもとにあります。

醸造所には食事を楽しむ場所も併設されていて、フッド山を眺めながらシードルを飲めます。

こだわりは人工物無添加のシードルをつくるところです。

使用しているリンゴも樹齢100歳のリンゴの木からとれたもののみです。

そのため、このハードアップルサイダーも使われているリンゴの品種は一つだけです。

ただ、この写真に写っているシードルは、リンゴに加えてベリーも入っています。

出来上がったシードルにベリーの果汁を加える製法です。

酸っぱいシードルではありませんが、リンゴの酸味がしっかりとあります。

意外にも、ベリー果汁入りの方が全体的にバランスのいいシードルになっていました。

そして試飲し終わると帰りがけにこれをくれました。

いつかどこかで使おうと思います。ありがとうございます。

JK’S Farmhouse Ciders(ジェイケーズ・ファームハウス・サイダーズ)

「JK’S Farmhouse Ciders(ジェイケーズ・ファームハウス・サイダーズ)」の『Patriotic Paw Paw(パトリオティック・ポポー)』です。

「JK’S Farmhouse Ciders(ジェイケーズ・ファームハウス・サイダーズ)」はミシガン州にあるサイダリーです。

ミシガン州は五大湖の近くにあります。すなわち「ノースウエスト(北西部)」のシードルではありません。

ただ、こちらもアメリカ産のシードルですので、この際紹介してしまいましょう。

ジェイケーズ・ファームハウス・サイダーズは、他のサイダリー同様に本物の果実を使用しています。

それだけではなく、農法にもこだわりオーガニック栽培を心がけています。

農園で発生した虫は園内を歩くホロホロ鳥に食べさせています。

また、落下したリンゴがバークシャー豚に食べさせることで虫の発生を抑制しています。

なんとその歴史も古く、1850年代からシードルを作っているとのことです。

自然の力で育ったリンゴを、昔ながらの方法でシードルにしている、素晴らしい心意気です。

そして今回試飲したシードルは「Patriotic Paw Paw(パトリオティック・ポポー)」。

ポポー…全く聞いたことがありません。

どうやらポポーは果物の名前で、ポポーが入っているシードルとのことでした。

名前の響きは楽しそうですが、ポポーとはいったいどんな果物でしょうか。

見た目はこんな感じです。

「ポポー」とは、北アメリカ原産の果物で、大きさは10cm前後です。

果肉は白みを帯びた黄色で、ねっとりとしています。

トロピカルフルーツのような、バナナやマンゴーのような南国のフルーツを思わせる味がします。

そんな美味しそうな果物ならスーパーでも売っていそうな気がしますが、まず取り扱われていることはありません。

理由は、ポポーが傷つきやすくすぐに腐ってしまうため、流通に乗せられないからです。

ポポーの旬は秋ごろなので、栽培されている場所を探して近くの市場で買うしかありません。

あるいは自分で育てましょう。

と、生食ではなかなか食べられないポポーですが、「Patriotic Paw Paw(パトリオティック・ポポー)」としてシードルで楽しむことはできます。

パトリオティック・ポポーは南国の果物の味のするシードルで、まるでシードルのカクテルを飲んでいるようです。

ポポーになじみがなさ過ぎて、味を想像するのが難しいと思いますが、ご安心ください。

「Patriotic Paw Paw(パトリオティック・ポポー)」は買って飲むことができます。

Antenna Americaのお店に行けば売っています。オンラインでも購入可能です。

「Antenna America(アンテナアメリカ)」のお店は、東京と横浜にあります。

気になった方はどうぞ行ってみてください。

ジャパンサイダーカップまとめ

たくさんのシードルブースがあるため、今回はアメリカのシードルに絞って紹介してみました。

日本では流通していないシードルばかりでしたが、どれも美味しかったのでそのうち流通すると思います。

会場にはアメリカのシードル以外にも日本のシードルもたくさんありました。

食べ物を売っているブースもあるので、シードルを飲みながら食事も楽しめます。

2025年もきっと開催されると思いますので、次回を楽しみに待ちましょう。

というわけで、今回のいっ杯でした。


タイトルとURLをコピーしました