作らないでください。
出だしからいきなり矛盾していますね。最速矛盾記録です。
なぜ作っていはいけないかと言えば、お酒を勝手につくるのは法律違反だからです。
「え?家庭用でも?じゃあ、梅酒作ってたばあちゃんは犯罪者なの?」
それは大丈夫。ばあちゃんは無罪です。
梅酒が大丈夫な理由は
- ホワイトリカー(ベース)のアルコール度数がたいてい35%(20%以上)だから
- 漬けているのが梅(ぶどう以外の果物)だから
- 家庭で消費する(販売しない)ものだから
詳しいことは国税庁のホームページで確認してください。
もう梅酒のはなしはやめて!
とにもかくにも、シードルを家庭で勝手に作ることは法律違反です。ご注意ください。
リンゴを発酵させる。それだけ。
シードルはリンゴを発酵させて作るお酒です。つまり、リンゴを発酵させればいいのです。
以上終わり。
…ではあまりにも冷たい人みたいなので、もう少し温もりを発揮します。
作業ステップはざっとこんな感じです。
- リンゴを洗う。
- リンゴを砕いて細かくする。
- 砕いたリンゴを潰して搾汁する。
- 絞った果汁を容器内で発酵させる。
- 発酵させたものを密閉瓶に移し替えて二回目の発酵をさせる。
これで完成~♪
「こんなに簡単なの?作れそう!」と思いましたか。
心にできた犯罪の芽をいますぐ摘み取ってください。
発酵させる…?
「いや、待てよ。リンゴを砕いて搾汁するまでの工程はわかったけど、そもそも『発酵』ってなにすればいいんだよ? するっていうかさせる? は?」
そうカッカしないでください。説明します。
発酵は、微生物の働きで有機物が分解され、特定の物質を生成する現象のことをいいます。
人間は微生物ではないので、リンゴを発酵するんじゃなくて、させるってわけです。
宇宙の広さと比べたら、人間も微生物だけどね。
シードルの発酵で働く微生物は「酵母菌」です。ワインも酵母菌でつくられます。
酵母菌はリンゴの皮などに付着しているので、勝手に発酵してくれます。どこかから酵母菌を捕まえてきて、一匹一匹容器に入れていく作業は必要ありません。
ちなみに酵母菌の大きさはおよそ10マイクロメートルで、黄砂の粒より大きいです。
このリンゴの酵母菌が、果汁に含まれる糖を分解してアルコールを生み出すので、シードルというお酒ができあがるという仕組みです。
では、「二回目の発酵」とは何でしょうか。
それこそが、シードルの魅力、シュワシュワの正体なのです!
一回目の発酵で酵母による分解は終わっているので、できあがったものにもすでにアルコールが含まれており、それは「リンゴワイン」です。
そこで、リンゴワインを瓶に移し替え、糖を加えて密閉します。
すると酵母が再び糖をアルコールと二酸化炭素に分解するため、発生した二酸化炭素が密閉瓶の中で行き場を失い、リンゴワインに溶けることで、シードルのシュワシュワが生まれるという仕組みです。
C6H12O6→2C2H5OH+2CO2
別にわからなくて大丈夫です。
この瓶の中でもう一度発酵させる方法(瓶内二次発酵)は、シャンパンの作り方と同じです。
というわけで、今日の学びでした。
作れても、作るな。
シードル太郎