シードルは庶民のドリンク
シードルはブルターニュ地方では取っ手のついたカップで飲まれることがあります。
このシードルカップは「Bolée(ボレ)」と呼ばれます。
なぜ、グラスではなくカップで飲まれるのかと言えば、シードルが庶民の飲み物だからです。
むかしむかしフランスの田舎では、ガラスは高価で市井の人々はなかなか買えませんでした。
そのため、多くの人がテラコッタ(素焼き)で作った食器を使っていました。
そしてシードルは、自分で作ることもできるくらい、簡単で手に入りやすい飲み物です。
結果、高価なグラスではなく、ありふれたカップ(ボレ)で飲まれていたわけです。
飲めれば器なんて気にしないってことですね。
飾らない君が好きさ。
ボレで飲んでるの?って笑われちゃう?
現在でも、ブルターニュ地方のガレットのお店などではよくシードルがボレで提供されます。
しかし、この習慣に異を唱える向きもあります。理由はこうです。
- 透明なグラスなら色、泡、輝き、透明度をよく見ることができる
- グラスは幅が狭いため香りが鼻に集中し、よりよく味わうことができる
- 今どきグラス高くないじゃん
フランスでも、人によっては「ボレ?観光客のパリジャンが使うやつね(笑)」という態度だったりします。
しかし、これはボレがどうかではなく「ノルマンディーVSブルターニュ」の戦いである可能性が高いです。
つまりノルマンディー側の意見です。
ノルマンディーとブルターニュは、どちらもフランス西部の海に面した地域です。
この地域はどちらともよくシードルを飲んでいて、シードルの名産地です。
ライバル同士が同じ特産品を持っているのですから、それはもう、競い合いになってしまうでしょう。
また、彼らはモンサンミッシェルの所有をめぐっても争っています。
領土争いですから(どっちもフランスですけど)、うかつにどちらかに肩入れするのは危険です。
「餃子と言えば宇都宮だよね~」と言ったとき、隣に座っているのは浜松の人かもしれません。
そういうことです。
セリアとセリアを比べたら、セリアの勝ちでした。
「能書きはもうわかったぜ。実際どうなんだよ。バーロー。」
そんな蝶ネクタイで気取った口ぶりのあなたのために、実際に飲み比べてみました。
不公平になってはいけないので、どちらの器もセリアで調達します。
一方は100均なのに、一方はバカラでは不公平ですものね。
バカラなんて持ってないくせに!
こちらです。
グラスは本来は足つきのチューリップグラスがいいです。
ただ、今回は普通のグラスにしてしまいました。
とはいえカップの方もただのスープカップです。
ボレと呼んでいいのかは不明です。
どちらも欠点だらけで、そういう意味では平等ですね。
それにしても、初めてメルカリに出品してるみたいな薄暗い写真ですね。
そして今回この戦いで使われるシードルは『ニッカ』の「シードル・ロゼ」です。
みずみずしく飲みやすいシードルです。
容器にそそぐとこんな感じ。
ピンク色が鮮やかですね。
なんか薄暗くて微妙な写真だな。ですか。
同感です。
なぜピンク色なのか問い合わせたところ「リンゴの皮に由来する色」との回答をいただきました。
着色料は使っていないとのことで、感服いたします。
飲み比べた結果だけ簡単に言いますと、今回はボレの方がおいしく感じました。
ちょっと口当たりが柔らかく感じられたのが勝因です。
しかしながら「まったく、わかってないねぇ。」なんて偉そうに飲むシードルが楽しいとは思えません。
気分に合わせて使い分ければいいと思います。
というわけで、今回の一杯でした。
器の大きさを見せつけよう。
シードル太郎
100均のスープカップじゃなくて、ちゃんとシードルカップで飲みたいよ!
という真っ当な価値観をお持ちの方はこちらから可愛いシードルカップが購入可能です。