フランス料理とウサギ
フランスではウサギがよく食べられます。
スーパーの肉売り場にも、処理されたウサギの肉が、形がわかる状態で陳列されています。
味は比較的淡白で脂肪分は少なめです。
鶏肉に近い肉感で、柔らかくてしっとりしています。
日本でも昔はウサギが食べられていましたが、近年ではあまり食べられることがなくなりました。
しかし、フランスでは今もよく食べられています。
よく食べられてはいますが、フランスが世界一のウサギ肉大国ではありません。
「まどろっこしいなあ。」という気持ちもわかりますが、こちらをご覧ください。
![](https://oicidre.com/wp-content/uploads/2023/08/f81fd2e4c52864042852c112ce927ae2.png)
こちらは世界のウサギ肉の生産量と順位を表したグラフです。
なんと、1位は中国で、2位は北朝鮮、3位はエジプトでした。
消費量ではなく生産量のグラフですが、消費量でもトップスリーは変わりません。
「だったら中国のウサギ料理の話しろよ!」というランキング原理主義の方は、ビルボードチャートでも眺めていてください。
さて、フランス料理の話に戻ります。
ウサギをつかったフランス料理はたくさんあります。
- Lapin rôti(ウサギのロースト)
- Lapin fricassé(ウサギのフリカッセ)
- Lapin sauté(ウサギのソテー)
- Lapereau à la provençale(仔ウサギのプロヴァンス風)
- Lapin en gibelotte(ウサギのワインシチュー)
- Lapin Marengo(ウサギのマレンゴ)
- Lapin à la crème(ウサギのクリーム添え)
- Civet de lapin(ウサギの赤ワイン煮込み)
- Lapin sauce piquante(ウサギのホットソース添)
- Pain de lapin(ウサギのパン粉まぶし)
- Terrine de lapin(ウサギのテリーヌ)
などなど、なにがなんだかわからない料理もありますが、レパートリーは豊富です。
気がついたかもしれませんが、”Lapin”がウサギのことです。
面倒くさがって読み飛ばしたあなたは気づかなかったでしょうけどね。
ちなみに、野生のウサギだと”Lievre(リエーヴル)”で別の呼び方です。
狩猟で獲ったウサギでは、「Lapin rôti」は作れないということです。
どっちでもいいですけどね。
ウサギのテリーヌとは
フランスに様々あるウサギ料理の中から、今回は「ウサギのテリーヌ」を紹介します。
そもそも、ウサギのテリーヌとは何でしょうか。
テリーヌとは「テリーヌと呼ばれる陶器製の型で作られたパテ」です。
つまり、テリーヌは調理具でもありパテでもあります。
ウサギのテリーヌ=ウサギのパテ
では、パテとはなんでしょうか。
パテは「肉や内臓、脂肪、野菜、卵、ハーブ、スパイス、その他の材料を細かく刻んだ混合物をパイのような生地で焼いたもの」です。
それをパイ生地ではなくテリーヌ容器で焼いたら、テリーヌになるということです。
ちなみにリエットもよく似ていますが、リエットはもっとねっとりとペースト状になっています。
わかったか、わからなかったかはわかりませんが、作り方のご紹介です。
ウサギのテリーヌの作り方
今回ご紹介するのは、Ginette Mathiotさんの著書『La Cuisine pour tous(みんなの料理)』に書いてあるレシピです。
【準備するもの】
- ウサギ肉:1kg
- 仔牛肉:150g
- 豚肉:200g
- ハム:250g
- 卵:2個
- エシャロット:1個
- トリュフ:好きなだけ
- 燻製背脂:100g
- 薄切りベーコン:300g
- コニャック:100ml
【作り方】
- 生のウサギ肉をカットします。
- みじん切りにしたベーコンと一緒にバターで炒めます。(あれ、バター用意してないけど…)
- 味付けをして30分加熱します。(味付けとは…)
- ハムと角切りにしたトリュフを加えながら、詰め物の用意をします。
- 他のページに載っていた、詰め物の作り方を紹介します。
- ベーコンと豚肉が半分半分のミンチに、パセリ、塩、コショウを混ぜます。コニャックを混ぜてもいいです。(混ぜてもいいって…)
- テリーヌ容器の底にベーコンを並べます。
- 詰め物の層を作ります。
- それからウサギの肉を置きます。
- そしてレバーを置き(レバーの用意してないよ…)
- 続けて燻製背脂の層を作ります。
- コニャックを加えます。
- さらにベーコンを加えます。
- テリーヌ容器をパイ生地で覆いその上から蓋をして、オーブンで3時間半焼きます。(急にパイ生地…オーブンの温度は…)
- ウサギの骨を煮込んだジュレの準備をします。(あまりにも突然すぎる…)
- 焼きあがったら蓋を外します。(ここはやけに丁寧)
- パイに数か所穴を開け、ジュレを流し込みます。
- 冷やして固めます。
- 翌日完成です。
いかがだったでしょうか。
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できるか、こんなもん!
気持ちはわかりますが、Ginette Mathiotさんのレシピなので、苦情はそちらにお願いします。
この本にはウサギの解体方法も載っていますが、さすがに割愛します。
「俺は解体方法が気になるなあ!」ですか。そういう態度は中学生で卒業しましょうね。
なんにしてもご覧の通り、自分で作るのは大変そうなので、買った方が早いです。
こちらです。
![](https://oicidre.com/wp-content/uploads/2023/08/IMG_2625-1024x768.jpg)
写真のものとは違いますがウサギのテリーヌはこちらから購入可能です。
早速シードルと合わせて食べたいと思います。
![シードル太郎](https://oicidre.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/man.png)
待ってました!
Cidre Brut Romilly(シードル ブリュ ロミリィ)
今回紹介するシードルは『Romilly』の「Cidre Brut」です。
![](https://oicidre.com/wp-content/uploads/2023/08/IMG_2627_2-772x1024.jpg)
Romillyは、なんとノルマンディーで1000年以上続く農園です。
25種類のリンゴを使用して、野生のノルマン酵母から作られる、伝統的なシードルです。
「Brut(辛口)」の売りは ”土、干し草、皮革、野生酵母の風味を感じさせること”とのことです。
澱もそれなりに残っており、確かに野生酵母をしっかり感じます。
そして合わせるはウサギのテリーヌです。
![](https://oicidre.com/wp-content/uploads/2023/08/IMG_2630-1024x768.jpg)
トーストしたバゲットにたっぷりテリーヌを乗せて、パセリもかけてみました。
パセリをかけるひと工夫がいいですね。まったく素晴らしい。
味も、最高です。
一気にひと瓶食べきってしまいそうな美味しさです。
理性があるのでしませんが。
こんなちょっとしたものでも、完全にフランス料理の味です。
しっかりとウサギと脂の旨みがあるテリーヌに、酵母感がありつつもキリっとしたシードルがよく合います。
![シードル太郎](https://oicidre.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/man.png)
こいつぁ、文句なしよ!
というわけで、今回の一杯でした。
ラパンはシードル泥棒
シードル太郎
シャルキュトリー作りに挑戦してみたい方は、日本語のちゃんとした本もあります。