ガレット・デ・ロワってなに
最近はじわじわと流行ってきているので「ガレット・デ・ロワ」をご存じの方も多いでしょう。
しかし知らいない人もいると思うので説明します。
「ガレット・デ・ロワ」はフランスなどのヨーロッパの国で、「公現祭」を祝う際に食べるお菓子のことです。
「お菓子なのはわかったけど、公現祭ってなんのこっちゃわからんわ。」
たしかにそうですね。
公現祭(エピファニー)はキリスト教の祝日で、キリストの誕生(顕現)日とも言われています。
「クリスマスがキリストの誕生日じゃないの?」
そう思いますよね。ところが、1月6日という説もあるようです。
キリストの誕生なんて遥か大昔のことなので、地域や歴史によってその考え方に違いがあるらしいです。
ただ長い歴史を経て、結局12月25日がクリスマスで、1月6日は公現祭で、両方祝っちゃおうということでまとまったようです。
まあ、宗教と歴史の話なので詳しいことはよく分かりません。
![](https://oicidre.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/man.png)
だってこれシードルブログだしね。
そんな公現祭に食べるお菓子がガレット・デ・ロワです。
ほとんどの場合パイ生地にアーモンドクリームが入っています。
クリームといってもシュークリームのようなトロッとしたものではなく、あんこより少しかたい感じです。
そして何が普通のお菓子と違うかといえば、中に小さい陶器の小物が入っていることです。
もともとはそら豆が入っていたようですが、現在では陶器でできた小物が入っています。
「食べ物の中にそんなもの入れたら危ないだろ!」
まあそうなんですが、むしろそれが入っている方が嬉しいんです。
「ガレット・デ・ロワ」はフランス語で「galette des rois」と書きます。
意味は「王様の焼き菓子」です。
焼き菓子(ケーキ)の中に陶器の小物がひとつだけ入っていて、食べたときにそれが当たった人は王様になります。
陶器の小物は「féve(フェーブ)」と呼ばれます。
毎年デザインが変わることが多いため、コレクションの対象だったりします。
「何か入ってたぞ!」と怒り出す人はいないというわけです。
「王様になったら、何かあるの?」
気になりますね。
ひょっとしたら、王様ゲームのようなことをイメージしたかもしれません。
が、そんな下世話なイベントではありません。
王様になったらそこにいる人の中から王妃を選んで、ただただハッピーなのです。
王様はガレット・デ・ロワを買ったときに渡される紙の王冠をご機嫌にかぶるのです。
むろん大人たちはその役回りを小さい子供に譲るのです。
ちなみに日本では怒り出す人がいるからなのか、アーモンドが一粒入っていて、フェーブは別添えのことが多いです。
ガレット・デ・ロワ 4店舗食べ比べ
ガレット・デ・ロワは日本でも普及してきているので、年末年始にはいろんなお店が売り出しています。
それぞれに味やféve(フェーブ)に違いがあるので、食べ比べてみるのも面白いです。
ただ、正直に言ってひとりで何個も食べるのは大変です。
それでも遠い目をしながら頑張って食べたので、参考にしてもらえると食べ比べた甲斐があります。
Johan(ジョアン)
まずはジョアンです。ジョアンは期待できます。
なぜか。これです。
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ジョアンの入口に、ガレットと一緒になんとシードルが展示されていました。
もしかしたらこれはガレットに合うということかもしれません。
さっそくお店の方に聞きました。
…ふんふん、なるほど。
ただのディスプレイでした。
シードルの銘柄にも特に意味はなく、店内で取り扱いもありませんでした。
本当にただ一緒に飾っているだけだったようです。
![シードル太郎](https://oicidre.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/man.png)
とほほ。
しかしそれはそれ、これはこれです。
箱から出してみるとかなり大きいです。
ずっしりと重みもあり、アーモンドクリームがたくさん詰まっていて食べごたえは十分。
端っこの円周部分はザクザクでクッキーのような歯ごたえがありました。
そして、ジョアンはフェーブにも凝っています。
今年のフェーブはこれでした。
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なにやら集めるとフランスの形になるらしいのですが、ここはどこにあたる部分でしょうか。
デザイン決めからおよそ6ヶ月かけて完成するそうです。
ガレット・デ・ロワ自体のサイズも直径約20cmあるので、家族で食べるには最適です。
オンラインでの購入はできなそうなので、こちらから近所にお店があるかご確認ください。
Maison Landemaine(メゾン・ランドゥメンヌ)
続いてはメゾン・ランドゥメンヌです。
こちらはパリにも出店しているパン屋さんです。
いえ、正しくは東京にも出店しているパリのパン屋さんです。
フランスのバターを使用した大きくて美味しいクロワッサンが有名です。
すこし高額ですが国内で食べられるクロワッサンとしてはとても美味しいです。
今回はそのガレット・デ・ロワを食べてみます。
嬉しいことに大きさは、2人用、4人用、6人用から選べます。
![](https://oicidre.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_3698-768x1024.jpg)
迷わず2人用を選びました。
サイズは小さいですが、中のクリームの量は多目です。
そして味もいい意味で濃いめで、お菓子を食べている喜びがあります。
中のクリームだけでなく、パイ生地の方も美味しいです。
クロワッサンを思わせるような、軽い食感が楽しめます。
そして外付けのフェーブはこちら。
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これは、ネズミでしょうか。
このなんとも言えないよくわからないフェーブの感じがいいですね。
ガレット・デ・ロワらしいです。
4人用のみですが、オンラインショップでの販売もあります。
公式ショップから購入可能です。
patisserie Sadaharu AOKI paris(パティスリー・サダハル・アオキ・パリ)
次はパティスリー・サダハル・アオキ・パリです。
チョコレートなどが有名で、名前は聞いたことがある人も多いかもしれません。
こちらもパリから日本に出店しているお店です。
サダハルアオキさんはフランスで名だたるお菓子の賞をいくつも受賞している実力者です。
そしてお菓子作りにおいて、生地の存在を大事にしているらしいです。
これは美味しい予感です。
売り場に行くと、大人数用のホールと、1人用のカットされたものが売られていました。
ありがたや、ありがたや。
もちろん買うのは1人用です。
ただ、注意点としては、1人用にはフェーブが付いていません。
マカロンのかわいいフェーブだったので残念です。
1人用のガレットはこんな感じで包まれています。
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味は、ラム酒とバターの香りを感じられて美味しいです。
アーモンドクリームはしっとり柔らかめです。
さすがパティスリーのガレットらしく、生地の底の部分はタルトのような固さがあります。
パイ生地もサクサクと食感がいいです。
フェーブ付きのホールのガレット・デ・ロワは公式ショップから購入可能です。
noix de beurre(ノワ・ドゥ・ブール)
最後はノワ・ドゥ・ブールです。
こちらはフィナンシェが有名なお店で、いつも行列ができています。
並ぶのは大変ですが、焼き立てのフィナンシェはものすごく美味しいです。
フィナンシェが美味しいならガレット・デ・ロワも美味しい気がします。
そんな法則も根拠もないですけどね。
予約のときには行列に並ぶ必要がありますが、受け取りのときは脇からスッともらえます。
まず箱がかわいいです。
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フェーブの代わりにグリオットチェリーが入っているところが特徴で、少し変わっています。
アーモンドが一粒入っているのがよくあるパターンです。
さっそく食べようとカットしました。
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しくじりました。
これでは当たりをみつける楽しみはありません。
ひとりだったので助かりましたが、子供がいたら大惨事です。
しかし、かなり美味しいのでそんなことはかまいません。
ちなみにフェーブはこれでした。
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ガレットは直径約12cmとやや小さめですが、税込みで2,500円もしないので買いやすい値段です。
味はさすが美味しいフィナンシェをつくるだけあってバターの香りが素晴らしい。
中のアーモンドクリームは控えめです。
何よりもパイ生地の部分がパリパリで本物のクロワッサンのようです。
今回食べた4つの中では一番好きです。
ただ、非常に残念ながらオンラインでの販売はありませんでした。
東京の百貨店に3店舗しかなく、期間限定なので買うのはなかなか難しいかもしれません。
タイミングがあえば是非お試しください。
ガレット・デ・ロワとシードルの組み合わせ
さてさて、ここまでガレット・デ・ロワの説明をじっくりしましたが、これはシードルのブログです。
ここからが本題と言っても過言ではありません。
食べ比べのところだけ読んだ人は、映画のエンドロールが始まった瞬間に席を立つタイプでしょう。
いや、それだとそっちが本編ってことか…。
まあいいや、シードルと合わせてみましょう!
![シードル太郎](https://oicidre.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/man.png)
待ってました!
今回合わせるシードルは「ラシャス」の『カルヴァドスシードル』です。
このシードルにはカルヴァドスがブレンドしてあります。
カルヴァドスとは、シードルを蒸留して作ったリンゴのブランデーです。
通常は「アップルブランデー」ですが、条件を満たした一部のアップルブランデーのみ「カルヴァドス」を名乗れます。
カルヴァドスは蒸留酒なので何かで割って飲むことが多いです。
その際にりんごジュースで割ったものを「Pommeau(ポモー)」と呼びます。
このシードルはカルヴァドスと混ざっているので、シードル版ポモーと呼べるかもしれません。
味はさすがカルヴァドスが入っているだけあって、香り高く高級感があります。
そしてガレット・デ・ロワとの相性は、良い!
ガレット・デ・ロワがバターとアーモンド香るお菓子なので、キリッとしたドライタイプはいまひとつ。
とはいえ、甘口シードルでは甘々になってしまりがありません。
このシードルの場合、カルヴァドスの香りが甘いお菓子もまとめ上げてくれます。
炭酸の刺激も心地よくこれはいい組み合わせでした。
というわけで、今回の一杯でした。
おせちもいいけど、ガレットもね。
シードル太郎