シードルとは
リンゴのお酒とシードルの飲みくらべ…
…
一緒じゃん。
そう思いましたか。気持ちはわかります。
が、説明の前にまずシードルとは何かを知っておく必要があります。
シードルとは「リンゴ果汁を発酵させて作った飲み物」です。
「リンゴ果汁にアルコールを加えたもの」ではありません。
そして、蒸留もしていません。
「蒸留」とは液体の沸点差を利用して成分を分離し、濃縮することをいいます。
わかったようなわからないような感じでしょうか。まあいいです。
シードルはリンゴだけあればできるということです。
アルコールを加える必要も、蒸留する必要もありません。
おや?っとここで疑問をもったなら、あなたの勘はキレッキレです。
疑問をもたなくても心配しないでください。ただ普通の人というだけです。
そうです。
シードルかどうかに、炭酸の有無は関係ないのです。
一般的にシードルには炭酸が含まれますが、それは条件ではありません。
炭酸がないんだったら、それってリンゴワインじゃないの?と思いましたか。
大正解です。
シードルとリンゴワインは同じものなのです。
そのため、ドイツ語では「アプフェルヴァイン(Apfelwein)」といいます。
ドイツ語が分からなくても、ほぼ「アップルワイン」な感じはわかりますね。
条件でこそありませんが、シュワシュワした炭酸はシードルの魅力のひとつです。
というわけで、アップルワインのうち炭酸があるものをシードルと勝手に定義しちゃいます。
いい定義だよ~
ちなみに酒税法上のシードルの品目は「果実酒 発泡性①」と表記されることが多いです。
税関のホームページに、例として「発泡性を有する果実酒(アルコール分 8 度)のもの⇒『果実酒(発泡性)①』」と書いてあります。
詳しいことはわかりませんが、そういうことです。
チューハイ > シードル
なんという悲しい不等式でしょうか。
しくしく…
ご安心ください。
「チューハイ>シードル」
これは美味しさを表したものではありません。
買いやすさを表したものです。
よかったあ!
本格的な美味しいシードルは、スーパーやコンビニにはなかなか置いてありません。
ところが、りんごの缶チューハイなら簡単にどこでも手に入ります。
期間限定だったりもしますが、冬なら大抵のコンビニでりんごの缶チューハイを買うことができます。
しかも各大手メーカーから発売されていて種類も豊富です。
だったらリンゴチューハイでいいじゃん。何が違うの?
いい質問です。
シードルはリンゴ果汁そのものが発酵していますが、リンゴチューハイはリンゴ果汁にアルコールを加えたものです。
シードルの炭酸は発酵の過程で自然に生じるものですが、チューハイの炭酸は後から足しています。
あとから炭酸を足すシードルもあるけどね。
……。
とにかく、作り方が全く違うということをまず覚えておいてください。
作り方が違いますから、味も当然違います。
リンゴ味のアルコール飲料なんだから同じだろ!
そんな乱暴な考えはゴミ箱に移動です。
…
…
…まだ疑っている人がいるようなので、飲みくらべしたいと思います。
りんごのお酒4種飲みくらべ
これらのお酒を飲みくらべます。
白鶴 ぷるぷる林檎酒
いきなり変わったお酒です。
白鶴 ぷるぷる林檎酒は、なんと飲めるゼリーです。
ゼリーが固まっているため、飲む前に10回振るように書かれいています。
炭酸を振って飲むなんて、アウトローになった気分です。
遠慮して控えめに振ったので、注ぐときになかなか出てきませんでした。
缶をベコベコに凹ませながらやっとこさ出しました。
飲んでみるとドゥルンドゥルンです。
見た目は「ぷるぷる」かもれしれませんが「ドゥルンドゥルン」で間違いありません。
リンゴ果汁の甘味があって、おもしろいだけでなくちゃんと美味しいです。
ゼリーの中に閉じ込められた炭酸が心地よくあります。
ゼリーを楽しんでいる間はリンゴゼリーの味ですが、アルコール感もあとからしっかりあります。
見た目からシードルとは全く違いますが、これはこれですごくおいしいです。
続けてもう一本飲みたくなります。
富永貿易 100% カジューハイ
続いてのこちらは一見ふつうのチューハイです。
が、少し気になるのは「果汁100%」の表記。
アルコールを加えてるのに果汁100%とは。
堂々と虚偽表示しているのでしょうか。
そんなことはありません。
成分表示のあたりをよく見るとこんな記載がありました。
なるほど、濃縮果汁を水とアルコールで還元することで、果汁100%になるということですね。
そして味はというと、ほぼリンゴジュースの味です。
アルコールも3%と高くないので、味としてアルコール飲料を飲んでいる感じはしません。
炭酸も入っていますが、かすかに感じる程度で微炭酸も微炭酸、弱微炭酸です。
いや、微炭酸をの微を強めるなら、強微炭酸の方が炭酸が弱いことになるでしょうか。
でもそれだと強いのか弱いのかわからなくなりそうな気もします。
どっちでもいいよ!
飲みやすさナンバーワンです。
ニッカ アップルワイン
さて、来ました!日本りんご酒界の歴史そのもの!
ニッカのアップルワインです。
ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝が1938年につくった超ロングセラー商品です。
前述しているとおり、アップルワインとシードルは同じ意味です。
ですからこちらもシードルと言おうとすれば言えなくもないです。
ただ、炭酸がないうえにアルコール度数も22%あります。
「リンゴのワインにリンゴブランデーを加えたうえ、ブランデー樽にてゆっくりと熟成させた原酒を一部使用している」とのこと。
さすがにこれをシードルとしてそのまま飲むのは少し違うので、炭酸水で割ることにします。
色、泡の感じ、見た目はもうシードルそのものです。
そして飲んでみると…ちょっと薄い!
いや、こちらのミスです。すみません。
4倍希釈したのがよくなかったようです。
2倍希釈くらいが、ちょうどいい気がします。
好みは自分で探してください。
ちなみに公式ホームページではこんなアレンジが紹介されています。
なるほど、レモンスライスを加えてもいいんですね。さすが公式です。
かなり甘口ですが、ブランデーの香りが味の厚みを出してくれます。
LUSCIOUS CIDRE DRY
さあてさて、待ちに待ったシードルの登場です。
こちらは正真正銘のシードルです。
それもフランスのシードルなので「サイダー(英語)」でも「シードラ(スペイン語)」でもありません。
辛口のシードルらしいきりっとした飲み口。
繊細な泡のちょうどいい強さの刺激もあります。
タンニンをしっかり感じる、王道の味です。
ドライとはいえ甘みもあります。
ただ、果汁そのものが発酵しているので、ジュースのような甘味ではありません。
330ml瓶に入っているので、飲みきれるのもありがたいですね。
4種類飲みくらべてみた感想ですが、やっぱり全部全然違いました。
ぷるぷる林檎酒なんて、ゼリーですからね。
気になる方は自分の舌で確かめてください。
というわけで、今回の四杯でした。
みんなちがって、みんないい。…でもシードルがすき。
シードル太郎
他のお酒とじゃなくて、シードルを飲みくらべたいという方は、
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